慶應義塾大学医学部 血液内科

Division of Hematology Department of Internal Medicine Keio University School of Medicine

診療案内 溶血性貧血

概要

全身に酸素を運ぶ役割を持つ赤血球が、体の中で少なくなることを貧血と呼びます。体の中に十分な量の赤血球が無い場合、体の組織に酸素が十分行き渡らないため、息切れやふらつきなどの症状が出現します。 溶血性貧血は貧血の一種で、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こります。これによって貧血に伴う息切れやふらつきの他、眼球が黄色くなったり(黄疸)、胆石、褐色尿などの症状が出現します。 先天性のものでは遺伝性球状赤血球症や、サラセミアなどが挙げられます。後天性のもので代表的なものには、自己免疫性溶血性貧血や発作性夜間ヘモグロビン尿症が挙げられます。 以下、自己免疫溶血性貧血について説明します。

症状

貧血に伴う症状である息切れや動悸、ふらつきの他、ビリルビン値が上昇することにより黄疸・胆石・褐色尿などの症状が見られます。貧血に伴う症状が比較的短期間に進行する場合には、まず出血か溶血が疑われます。

診断

自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia; AIHA)は、本来外敵である細菌などと戦う免疫システムに異常が起こり、本来攻撃してはいけない自身の正常な赤血球に対する抗体(自己抗体)が出現し、これによって破壊されることにより起こります。自己抗体の種類により、温式自己免疫性溶血性貧血と寒冷凝集素症に分類されます。

治療

副腎皮質ホルモン(プレドニゾロンなど)が治療の中心になります。治療経過によっては、脾臓摘出術や、免疫抑制薬などが選択されることもあります。貧血の進行が急速な場合は輸血による補充を行うこともあります。寒冷凝集素症の場合は、寒冷刺激を避ける事も重要です。